SUPPORT

技術・サポート

技術情報

技術情報

製品に関連した各種技術を紹介します。

マスフローコントローラ/メータ

体積流量と質量流量

気体の流量計には、大きく分けて体積流量計と質量流量計があります。体積流量計には、面積式流量計、容積式流量計、差圧式流量計等があり、質量流量計にはコリオリ式流量計、渦式流量計、熱式流量計等があります。〈KOFLOC〉のメカニカルなフローメータは体積式流量計のうち面積式流量計に分類され、マスフローコントローラ(MFC)やマスフローメータ(MFM)は質量流量計のうち熱式流量計に分類されます。 体積流量計と質量流量計の違いを簡単な例を挙げてご説明します。体積流量計の多くは、図1のように流量計各部を大気開放するような状態、すなわち流量計内部に圧力がかからない状態で用います。ここに圧力がかかりますと大気開放で校正された体積流量計は正しい流量を表示しなくなり、読み値に対する補正計算が必要となります。特に石ケン膜流量計、乾式・湿式ガスメータ等では微少な抵抗でもありますと大きく影響されますので、原則大気開放で使用します。〈KOFLOC〉のフローメータ(面積式流量計)も同じで、圧力が大きく変動したり、ガス温度が変わったりして、ガス密度が変化すると、正確な指示ができなくなる為、圧力、温度条件をあらかじめ一定に決めておくか、もしくは読み値に各ファクタの補正計算を行う必要が生じます。 それに対して質量流量計は文字の示す通り、流量を重さで検知しますので、流体が圧縮されたりして密度が変わった状態でも同じ状態を定義する事ができます。ガスを質量で検知しますと、前記フローでも図2のような加圧状態でも同一指示が得られますので、事実上、あらゆるフローシートのどこにでも設置でき非常に便利である上、流量の読み値に誤差の少ないシステムが組めます。

マスフローコントローラ/メータの原理

〈KOFLOC〉のマスフローコントローラ/メータに使用されている流量センサは、一般的には熱式流量センサと呼ばれるものです。その検出原理を以下に記します。 センサ部である毛細管(図3)には、抵抗温度係数が大きい抵抗体を上流側(Rus)、下流側(Rds)にそれぞれ巻きつけてあります。これに電流を流すことにより、2つの抵抗体は発熱します。この時毛細管の内部に流体が流れない状態ですと、上流、下流ともに同じ温度でバランスします。(図3グラフの実線、流量ゼロ=マスフローコントローラ/メータで一般的にいうゼロ点の位置になります。)この状態で流体が流れ始めると、温度分布が図3グラフの破線のように変化します。このとき上流側は流体により熱を奪われ、逆に下流側には上流側から奪われた熱があたえられることになります。つまり、上流と下流の間に温度差(ΔT)が生じるということです。 この温度差(ΔT)が流体の質量流量に対して、関数関係であることに着目し、各々の抵抗値の変化を電気信号として取り出し、増幅、補正することにより、ある条件下で質量流量を計測できる熱式質量流量計として機能するのです。これがマスフローメータ(図4)です。 さらにマスフローコントローラ(図5)では、センサ部から出力された流量信号を基に、外部からの流量設定信号との比較制御でソレノイドアクチュエータにより流量制御バルブの開度をコントロールすることで、温度、圧力等の諸条件が変化してもほとんど影響を受けない、安定した質量流量制御を行うことができるのです。

流量単位

質量流量計であるマスフローコントローラ/メータは、前述のごとく圧力、温度に関係なく質量流量を計測するわけですが、質量で流量を表しますとg/min、kg/min等、一般的な流体計測で用いられる単位になじみがないものとなりますので、基準圧力、温度を決めた条件での体積流量で表すことが一般です。現在ではSI単位系に準じPa・㎥/sといった単位を用いますが、一般的に古くからマスフローコントローラ/メータで用いられていた単位SCCM、SLMが、まだ主流として扱われます。 本単位の定義に関しまして、〈KOFLOC〉では、1998年10月よりSEMI standardによる定義をマスフローコントローラ/メータに関する標準単位として採用しております。SCCMはStandard Cubic Centimeter per Minuteの略で0℃ 大気圧状態におけるcc/min、SLMはStandard Liter per Minuteの略で同条件のL/minに換算した値です。 また、半導体関連以外の業界では、SCCM、SLMを20℃ 大気圧状態、NCCM、NLMを0℃ 大気圧状態と定義するなど業界によります。その為、弊社マスフローコントローラ/メータの流量表記に関しましては、例えばSCCM(0℃、1atm)、NLM(0℃、1atm)といった基準温度・圧力を併記して製品ご注文時にご指定ください。

実ガス校正とコンバージョンファクタ法

熱式センサは、原則的には実ガス校正されたものしか精度は保証できません。現在、弊社で実ガスでの校正が可能なのは、N₂、Air、O₂、H₂、He、CO₂、Arです。その他のガスに関しましてはN₂に対する一定の変換係数=コンバージョンファクタ(C.F.)を用いて、N₂又はAirにて校正いたします。 例えば、N₂仕様のマスフローコントローラ/メータを用いてArを流した場合、ArのC.F.を1.4とするとマスフローコントローラ/メータの指示値より実際は1.4倍多く流れます。つまりAr流量=1.4×N₂マスフローコントローラ/メータの指示値になるのです。C.F.は、計算上もしくは実ガス測定によるデータの蓄積で種々のガスについて出しておりますが、実際のガスの状態(温度、圧力)、マスフローコントローラ/メータのセンサ方式、バイパス(層流素子)の組み合わせにより、一つのガスでも偏差があったり、複数存在したりすることもあります。C.F.はあくまで目安としてお考えいただきたく思います。 C.F.を用いずあくまで実ガスでの校正をご希望の場合は、実ガスを提供して頂く形をとらせていただき校正を行います。その為、別途実ガス校正料金が必要になります。ただし一部危険ガスにつきましては、製品、設備等の関連でご希望に添えない場合もございますので、前もって弊社までご確認ください。

仕様表記

本カタログのマスフローコントローラ/メータの仕様表記については、基本的にSEMI standardに準じています。 以下代表的な仕様の定義を説明します。

【1】精度

±○%F.S.(フルスケール)という形で表示しています。この値は弊社基準流量計に対する校正基準としたガス(N₂等)での誤差のフルスケール値に対する%値です。従って、例えばフルスケール50SCCMのレンジの場合、精度が±1%であれば、50×(1/100)=±0.5SCCMの「不確かさ」で弊社基準流量に対して保証されるという事になります。 一方、±○%S.P.(セットポイント)という形で表記する場合もございます。この場合は設定した流量値に対する%値になります。

【2】再現性

指定の動作条件で指定の期間に渡り、上下両方向から設定したある設定値において、繰り返された設定値が近似する度合いのことです。

【3】応答性

流量ゼロから制御を開始し、マスフローコントローラの出力がフルスケール98%に安定する時間で示しています。100%は、漸近線状の場合、解析しづらい為、通常この様に表記します。

※仕様表の流量、応答性、精度、動作差圧等の項目については、N₂またはAirでの仕様となりますことをご了承ください。

配線取り合い~KFC standard

〈KOFLOC〉では、1999年より省配線対応として、各種電気配線取り合いの標準化に取り組んでおります。現在、20SLM以下の小流量マスフローコントローラ/メータは(特殊・コンパクトモデルをのぞく)D-sub9ピンのKFC standard規格へ統一されております(図6)。対応完了製品は本カタログ仕様欄にKFC standardと表記しております。それ以外のコネクタ規格の製品は、個々のマスフローコントローラ/メータのページにて配線取り合いをご紹介しておりますが、詳細は製品取扱説明書をご参照ください。

図6 KFC standard

本体コネクタ…D-sub9ピンオス(M2.6ショートスクリュー)
適合コネクタ…D-sub9ピンメス(M2.6ショートスクリュー)

※ マスフローメータの場合ピン番号1、6、8、9はNCとなります。
※ ピン番号9は機種によって異なります。

修理

ご使用になられた製品が経時変化等で何らかのトラブル、故障を生じました際は、原則お預り修理対応とさせていただきます。これはマスフローコントローラ/メータ自体が非常に微細な部品で構成された精密機器であるためです。トラブル、故障を発見された際は、まず取扱説明書を確認いただいた上、弊社までご連絡ください。